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Mary Rose-第一話:"逆行"のロゴス 前編

この物語はおそらく幻想です。――そんなはずがないだろう。
実在の人物や団体との関連性はありません。――だったら良いのにね。
「現実なのですか? ただの自己妄想でもなく?」
YES、全ては妄想であったという安い落ちは用意されていないようです。

◆2011-08-15 T-09:48:20 "Minori Room"

『ここは……、私の家、私の部屋……だよね?』
部屋の出入り口付近に架けられたカレンダーを確認する。"8 2011 H23 August"と書かれていた。今は11月で日付は8月より先がめくられていない。
『八月って言うと、まだ学校は夏休みだっけ……』
私は部屋奥の机上で白紙と対面している少女の姿が見えた。その紙面には【問1――】【問2――】など問題文のみが書かれていて、解答覧には何も書かれていない。
目の前の少女はおそらく少し前の自分なのではないか?

少女は知っていた。この悠々自適な夏休みライフを過ごすなかでも、自分がやらなくてはならないことがあることを。
それは学校の宿題である。夏休み明けには提出することになっていた。
学校から自宅に帰って来るなり、机上に放置されたままとなっている手つかずのプリント類とその他である。もちろん何も書かれてはいない白紙だ。名前すらも書いていない。
「さて、どれから手をつけるべきか――」

『だったら、早くやりなさいよ。せもぽぬめ! って、これは今見てるアニメか(笑)』

机の引き出しから某漫画のように猫型ロボットが現われて、この状況を打開してくれるかもと浅い期待感。もしくは部屋のベランダで引っかかっている白い修道服を着た少女と関わったことで壮絶な物語が始まるなど、そういった妄想的な考えをしてしまう。
そう考えている間にも時間が刻一刻と過ぎていく。
「ここが……で、こうして解を求めて……。ダメだ全然分かんないや」

『私って何なの? バカなの? 死ぬの? ん、どうしてかな。あの自分の額に【肉】って書きたくなってきたかも(苦笑)』

問題集の前で悩んでいた。
今やっている問題が分からなくても、それとは対照的に自分の頭が悪いことだけは理解できている。途中式を書くまでもなく即座に導き出される解答。

『失礼ながら、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?』
少女に向かって言ってみる。しかし自分の声は少女には届かない。
某小説に出てきた主と執事のやりとりである。一度やってみたいと思っていたところだった。これで少女も「クビよ、クビ! 絶対クビ!」なんて言ったら、抱腹してしまいそうだ。

「悩んでいても仕方ないし、この辺で休憩しよう」

『あ、ダメ! 行っちゃダメ! さっさと宿題やりなさいよ』

少女は握っていたペンを机上に置いて部屋を後にする。木目調な廊下を進みながら、階段を下りて台所に着いた。冷蔵庫を開けると、ひんやりとした冷気が吹き出してくる。
冷蔵庫から取り出したのは、スティック状になったミルクアイス1本。

『アイス食べてる暇があるなら戻りなさい! ほら、早く』

「みーちゃん、夏休みの宿題は終わったの?」
ふいに後ろのほうから声をかけられたので振り返る。少女に声をかけてきたのは少女の母親である。
「ん、今日の分は終わったよ。だから少し休憩」

『終わってない!』

本当は終わってなどいない。問題を見ても分からないから、とりあえず休憩したにすぎない。
「そう。それなら良いんだけど」

『だから終わってないって、部屋に戻りなさいよ。後でやるの私なんだから――』

カチ、カチ――。秒針の音が響く。

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Author:松毬みのり

高校:1年生
性別:女
身長:152.7センチ
趣味:読書、物書き

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